『たまゆら〜卒業写真〜』公式サイト

『たまゆら～卒業写真～』では、メインキャラのデザインがリニューアルされました。どのような経緯でリニューアルすることになったのでしょうか？

飯塚　私の方から佐藤監督に提案しました。プレゼンではないですけど、かおちゃんが髪を短くした絵などをお見せして、どうですかって（笑）。実際の女の子って、一年を通してずっと同じ髪型ではなかったりしますよね。学年が変わったら切ったりすることもあるので、そういう変化が欲しかったんです。今までとは違う完結編っぽいところを、ビジュアルでも見せられたらとも思いました。

――髪型に変化をつけることは、以前から考えていたのですか？

飯塚　のりえちゃんや麻音ちゃんは、これまでも本編の中で髪型を変えたりしていたんですけど、かおちゃんはいつもポニーテールで。服装も（髪型に合わせて）ずっとボーイッシュな格好しかしていないんですよ。制服以外では、スカートを着てないんです。

――言われてみると、そうかもしれません。

飯塚　だから、かおちゃんの髪型を一番変えてあげたかったんです。この髪型ならスカートを着てくれるはず。元々は、のりえちゃんと麻音ちゃんがガーリーなので、差別化を図るためにボーイッシュだったんですけどね。かおちゃんは、服装ではちょっと違う形で注目されたりもしたので（笑）。

――ああ、例のパンダ柄の……（笑）。

飯塚　これからは、いろいろとおしゃれをさせてあげたいです。

――ここからは各キャラクターごとに、お話を聞かせてください。楓ちゃんは、そこまで大きな変化はありませんね。

飯塚　成長に合わせて、やや大人っぽくなった程度です。その変化については、私自身の絵が変わっているという理由も大きいですね。最初の設定を描いたのが2010年なので、今描く絵とあの頃の絵とは、完全に同じにはならないんです。設定を新たに起こしたのは、それが理由でもあって。『卒業写真』では、総作画監督（作品全体の絵柄や絵のクオリティをコントロールする役職）としても参加しているのですが、アニメーターさんが2010年の設定を元に絵を描くと、そこに私が全然違う（今の）絵で修正を乗せることになるので、現場が混乱するんです。

――では、意識的な変化はほとんどないわけですね。

飯塚　設定上の大きな変化はつけていません。楓ちゃんの成長は、本編の中でいろいろな表情とともに見せていけたらと思っています。

――かおちゃんは、トレードマークだったポニーテールをばっさり切ってます。

飯塚　ますますお姉さんぽく見えるかな、と。みんなを見守りつつ、自分も変わっていくかおちゃんというのも良いのでは、と思っています。それに、髪の毛を結んでいる子が下ろしたりすると、ドキッとしませんか？（笑）。

――良いと思います（笑）。のりえちゃんは、ツインテールを結ぶ位置が下がってますね。

飯塚　これまでも私服の時にはよくやっていたパターンです。高3になっても、上の方でまとめているのはちょっとどうかなって（笑）。まとめる位置の変化だけでも、ずいぶん印象は変わったと思います。

――少し落ち着いた感じに見えます。

飯塚　表情自体は変わってないんですけどね。そういった見た目の変化でも、今後の物語の予感を感じていただきたいです。

――麻音ちゃんは、少し髪が伸びていますね。

飯塚　麻音ちゃんは髪型を変えそうなイメージがあまりなくて。ちょっとずぼらそうだし、伸びてそうだなって（笑）。あとは、かおちゃんが髪を切ったので、長さ的に似てしまうというのも理由ではあります。

『卒業写真』からの新キャラクター、進藤巧美ちゃんと前川すずねちゃんについても教えてください。

飯塚　いつ新キャラが必要と言われても良いように、新キャラ候補の子を何人か描いて待っていたんです（笑）。その中から佐藤監督やプロデューサーに選んでもらいました。すずねちゃんの特徴は、分かりやすく眼鏡ですよね。眼鏡があると作画的な難易度が一気に高くなるので、本当は眼鏡っ娘はあまり出したくないのですが。完結編ですし、眼鏡っ娘が好きな方もいると思うので。巧美ちゃんのポイントは三つ編みです。そういえば今までいなかったんですよ。あと、ニーソです。ついにニーソの子を出しました！

――巧美ちゃんは、活発そうな子ですね。

飯塚　だから、スカートで動き回っても大丈夫なようにペチコートを履かせています。佐藤監督に突っ込まれる前に、描いておきました（笑）。

総作画監督としての作業もすでに始まっているかと思います。最後に、『たまゆら～卒業写真～』に対する意気込みを聞かせてください。

飯塚　これまでの『たまゆら』では、スケジュールの関係で本編の制作現場に関わることができなかったのですが、最後にようやくガッツリと参加することができます。『卒業写真』では、今までよりもさらに表情豊かな楓ちゃんたちを観てもらえると思うので……というか、そうなるように自分の可能性を信じて頑張ります（笑）。終盤の物語については、私もまだ全然知らないのですが、楓ちゃんたちの成長に絵が負けないようにしたいですね。実は、楓ちゃんという難しいキャラクターを、まだ完全につかみきれてはいないのですが、もっともっと楓ちゃんに心を寄せて、最終的に良い笑顔と良い泣き顔を観せられたらと思っています。