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2026.03.30
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AnimeJapan2026黒柳監督×花守ゆみりAJスペシャルトークレポート

3月28日(土)東京ビッグサイトにて開催されたAnimeJapan2026、TOKYO MXブースステージにてTVアニメ『ワールド イズ ダンシング』のトークイベントが実施されました。
CygamesPicturesのアニメーションプロデューサー溝口さんを司会に、本作の監督の黒柳トシマサさん、主演の鬼夜叉役花守ゆみりさんが登壇しました。
ご挨拶の後、本作のあらすじを花守さんが読み上げ、1月に解禁したティザービジュアルの話に。花守さんは根本知さんが書いたアニメロゴの書がどんな経緯で制作されたのか、監督に質問しました。
監督は『ワールド イズ ダンシング』の原作のロゴをアニメにするにあたって、アニメで見せるもの表現するには…ということを考えた時、NHK大河ドラマ『光る君へ』で題字を担当していた根本さんにお願いしたいと思ったといいます。根本さんには何パターンか書いてもらい、書が花のように舞っているような題字にしたいという希望を伝えて今の書になった。キャラクターデザインの佐々木啓悟さんが描き下ろした今回のティザービジュアルに関しても、皆さんに感じ取ってもらえるような余白のあるものにしたと語りました。
続いて、花守さん演じる後の世阿弥、鬼夜叉についての話に。教科書にも出てくる実在の人物の少年期ではあるが、本作では「なぜ人は舞うのか」という疑問を抱いていた彼がこの先に何を見て能を生み出すことになったのかということが描かれていると花守さんは話します。鬼夜叉の表情や彼の感情の動きが明るく丁寧で残酷に描かれている部分を是非見てほしいとのことです。
1話のアフレコの前には監督やスタッフと打ち合わせをしたそうで、鬼夜叉について溝口さんが「言葉の中にたくさんの表情があるような子かもしれない」と語ったことが花守さんは印象的だったそうで、その先のアフレコもその点を意識して収録したそうです。
アフレコの前には毎話数ごとに監督から時代背景やキャラクターの心情、そしてこの話で自分たちが何を伝えたいかという説明があり、キャスト一同ただ面白いだけじゃ終わらせないという意志を持って挑んだといいます。
本作は台本を読み終わった後キャスト同士が顔を見合わせてしまうほどシナリオが面白い!と語る花守さんは、本作で一番関わりの多い役、石也を演じた土屋神葉さんとのアフレコでの話に。現場では土屋さんと今回の話数はここが辛くて、でも人間が生きていくってこういうことなんだろうか?という話を毎回していたそうです。
コガネ役内田真礼さんとも、今のように当たり前に明日を生きられる時代では無い中で、それでも彼らが笑い合えていることについて話したそうで、本作では少年たちが明るくキラキラしているシーンが沢山描かれている、でもそのキラキラがなんの上に成り立っているのか、という光の底にある影の部分もこの作品は見せてくれると語りました。
続けて花守さんは、『ワールド イズ ダンシング』に登場するキャラクターは誰が主人公になってもおかしくない背景・歴史を持っているので、そこにも注目してほしいと話します。
黒柳監督は芸能として一個の形をつくったのは観阿弥であり、世阿弥のライバルである犬王も素晴らしい芸人だったと世阿弥が語っている記録も歴史上残っている、しかしなぜ現代にまで残っている能は世阿弥が生み出したものなのかっていう部分をこの作品を作る中で考えていたと本作への思いを語ります。
世阿弥は生涯で冷遇され、佐渡へ流刑となったこともありますが、それでも不屈の精神で能という室町時代の最新のエンタテインメントを探究しつづけた精神はあの少年のどこにあるのかということをこの作品で描いていきたいと話しました。
黒柳監督の言葉に対して花守さんは、後世まで残していかないといけないなと感じられる作品だった、同じような熱い会話がアフレコ現場でも繰り広げられていたと会場の笑いを誘いました。
最後に花守さんと黒柳監督の『ワールド イズ ダンシング』の「ここを楽しみにしてほしい」部分の紹介へ。
花守さんは「良い!」という作品を通したキーワードを紹介します。
「良い」とは一言で言ってしまえば感動、感動とは人によって尺度が違うもので、舞や謡に対しての「良い」、能楽的にいえば幽玄と言われる目には見えない美しさの「良い」。これらを「良い」と受け取れることが才能なのか、伝えられることが才能なのか、努力なのか、はたまたどちらでもない心なのだろうか、いつも感じてる感情に対して「良い」と感じる根源ってどこなんだろう、って思いながら「良い」という言葉に込められた意味を考えて感じて欲しいと語ります。
続いて監督は「「猿楽」から「能楽」へ!」というテーマで紹介します。
本作ではびっくりするくらいの量の舞のシーン制作し、現場は疲弊してます。と笑いを誘いつつ、猿楽は現代における能とは少し違うので、制作現場も当時の猿楽はどうだったか、アニメとしてどういう解釈で猿楽を描き、能になっていくのかと実験的な演出交えつつ挑戦していると語ります。僕らも模索しながら制作しているので、そんな思考過程も楽しみにしてほしい、画で伝えられる良さを追求したので是非楽しみにしてください、と話しました。
お二人の注目ポイントの紹介もおわり、イベントも最後のご挨拶へ。
まずは花守さんから、「オーデションの段階から、この作品は伝えたいテーマがはっきりしているなと思っていました。三原先生の原作もそうですし、本当の歴史でもあるので、伝えたいことがはっきりしていると思います。私たちは役者として何をできるか、アフレコが終わってもなお、違う現場であの作品は本当に面白いといろんな人たちが言ってくれる作品でもあります。この作品は自分達が何を残せたかという答え合わせでもあるので、私たちが伝えたかったことが花の種のようにいろんなところに10年20年先の人の心にお花を咲かせられればと思います」とコメントしました。
続いて黒柳トシマサ監督は、「この作品は三原先生の原作から、溝口さんの情熱から始まりました。「舞う」という単語が多くでてくる作品ではありますが、なぜ僕は絵を描くのだろうか、なぜ?という自分の好きなものに対する問いかけをしながら作っています。この作品の「舞う」という言葉を「描く」や「歌う」であったり自分の大切なものにいれかえたら誰にでも自身に通じる、感じられることの多い作品だと思います。全スタッフ一丸になって制作を頑張って、いい映像になっていますので放送をお楽しみに。」とコメントしました。
大きな拍手につつまれて、花守ゆみりさん、黒柳トシマサ監督はご降壇され、最後に司会を務めた溝口さんが「常日頃意識していることですが、自分が作る作品が皆さんにとって、気持ちよく120点を叩き出せるような傑作か、もしくは目を背け、忌避したくなるような負の感情を呼び起こされる作品になって欲しいと考えています。大量にコンテンツのあふれるこの時代に、自分たちが作るものが、何かしら見る人の心や人生に痕跡を刻んでほしいと思っているからです。。本作が皆さんの心に本当に届くものかどうかは放送を楽しみにしていてください。」と7月の放送へ向けて期待の高まる、制作一同の熱い思いがこもったトークイベントを締めくくりました。
