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オフィシャルインタビュー【第2回】井上剛さん 梶田大嗣さん 矢野優美華さん 鼎談

ブルーキーパー登場!

矢野 井上さんとじっくりお話しするのは初めてですね。

井上 スタジオで一緒になったのは3、4回くらいですからね。

梶田 僕、『TIGER&BUNNY』が大好きなんです。井上さんが演じるスカイハイは本当にかっこいい!

井上 ありがとうございます。自身としては、スカイハイみたいにまっすぐなキャラクターを演じることが多いので、今回の『戦隊大失格』で演じているブルーキーパーは、あまりないタイプの役。収録が始まる前に、さとう監督とキャラクターについての打ち合わせをしたんですが、さとう監督からも「ちょっと癖のあるキャラクターなので」と、いろんなお話をさせてもらいました。

梶田 僕たちが監督とお食事に行ったときにおっしゃっていたんですが、「最初にまっすぐな役で呼んだら、次はまったく違う役で呼びたくなっちゃう性分なんだよね」って。それでブルーキーパー役は井上さんなんだなと思いました。

井上 さとう監督とは『TIGER&BUNNY』以来、12年のお付き合いですからね。僕のことは結構知ってもらってると思うので、あえてキャスティングしてくれたのかなと思いました。

矢野 ブルーキーパーってどんなキャラクターだと思いますか?

井上 顔に大きな傷があるし、ドラゴンキーパーの中でこの人が一番「本当に戦隊なの?」って思われるタイプですよね。ドラゴンキーパーとして日曜決戦に登場するときは無口キャラだけど、裏ではとにかく口が悪い。二面性がある人物というよりも、スイッチで切り替えているというイメージですね。しゃべるときは、本当に怒っていたり脅していたり(笑)。こう見えて裏はなさそうな感じ。オンオフを切り替えるように演じようと思ってやっています。

梶田 井上さんとしては声のトーンがすごく低いですよね?

井上 そうですね。収録前はブルーキーパーはまだ若いだろうし高めのトーンがいいのかなと思ったんですが、さとう監督から「もっと低い声で」という演出がありまして、頑張って低めのトーンで喋っています。ドラゴンキーパーの5人を並べてみると、確かにこの中ならブルーキーパーは低めのほうがバランスもいいのかも。ほかにも監督からは「今どきの若者っぽく。チーマーぐらいのイメージ」と言われていましたが、怖さを追求するあまり、若者っぽさはないかもしれません(笑)。

矢野 詳しくは言えないですが、ただ怖いだけのキャラクターじゃないんですよね。

井上 そうなんですよね。実はこの人…という真相があるんですが、それが見えちゃうとキャラクター像がブレてしまうので、今のところは決して出さないように。僕だけがわかっていればいいと思いながらやっています。

梶田 大直会(大戦隊の全一位隊員が集まる大会議)で、夢子とブルーキーパーは一触即発の空気でしたよね。

井上 あの態度は錫切さんが悪いと思いますよ!? 遅刻したんだから、一般常識として「すみません」くらいは言いましょうよって言っただけですから。

梶田 おっしゃるとおりです。

矢野 でもでも、「愛人」という言い方はよくないと思います!

井上 ブルーキーパーはちょっと言い方が悪すぎるんですが、根本的に間違ったことは言ってないと僕は信じてますよ。

梶田 二人とも、ケンカしないでください〜!

矢野 夢子って、ある秘密があってドラゴンキーパー全員のことを嫌っているんです。ドラゴンキーパーであるというだけで、夢子にとっては腹の立つ存在。そのひとりであるブルーキーパーに「愛人」なんて言われたものだから、思わず「さかりたての中学生みたいですね」って言い返しちゃった。私だったらもちろん、ブルーキーパーにあんなこと言えないですよ。

井上 夢子のあの口ぶりは、普段から言い慣れている感じでしたよね。(笑)そうじゃないとあんな言い方できないと思う。あれ、レッドキーパーに言ってたらやられてますよ? ブルーキーパーは口で言い返すだけだから、優しいもんです。

梶田 日々輝も実はブルーキーパーとは深い縁があるのですが、アニメではその部分は少し見えにくいですね。今のところまったく会話もしていないですし。でももしアニメで描かれることはなくても、ブルーキーパーへの憧れは持っているんじゃないかな。ブルーってかっこいいですからね。

矢野 ドラゴンキーパーの中では、グリーンキーパーもいい人そうに見えるけれど、実は一番いい人なのがブルーキーパーなんじゃないかなと思っています。レッドキーパー、イエローキーパー、ピンクキーパーは自分中心に動いているところがあるし、グリーンキーパーも優しそうに見えるけれど自分都合な部分も感じる。だけどブルーキーパーだけは、バディである藍染小町ちゃんやブルー部隊隊員たちのことをちゃんと思っていますよね。使う言葉が粗暴なだけで、本当は一番優しい人なんですよね。

梶田 ブルー部隊はお互いを思いやっているのがわかるよね。レッドなど他の部隊の隊員たちは、虎視眈々と正一位の座を狙っていそうですけど、ブルーキーパーは部下たちから慕われてるなって感じます。

井上 隊員との会話を見ても、ブルーキーパーは兄貴分なんだろうなと思いますよね。

矢野 しかも演じられる井上さんは現場でもすごくお優しい方なんです。私たち新人や誰に対しても本当に丁寧で。ブルーってお芝居的に荒い部分が目立ちやすいキャラですけど、井上さんの優しい部分がにじみ出ることで、辻褄が合っていると思うんです。夢子はブルーキーパーが大嫌いかもしれないけど、私は毎回「素敵だなぁ」って思っています!

井上 嬉しいなぁ。毎回それ言ってもらおう(笑)。

梶田 ドラゴンキーパーの中では一番人間味のあるキャラクターですからね。僕は第3話でブルーキーパーの「神具神降」を聞けたとき、あまりのかっこよさに震えました。井上さんのブルーキーパーは本当にかっこいいです!

井上 ブルーキーパーは、不器用さも感じるところが魅力につながっているのかもしれないなと思います。さとう監督との最初の打ち合わせで、「井上くんらしさがうまくこの役にはまれば」っておっしゃっていたんですが、うまく行っているのならよかったです。自分で「僕いい人なので」って言ってるみたいで恥ずかしいですけど(笑)。

 


アフレコ現場は驚きの連続

梶田 さとう監督とご一緒して一番驚いたのが、「セリフを噛んでも気持ちが乗っていればOKにするから」って言われたことだったんです。

井上 そうですね。毎回、自由にされる監督だとは思うんですが、「尺は気にしなくていいから」って言うのはすごいなと思います。以前ご一緒した監督の別作品では音響監督もいましたが、今回は音響監督もさとうさんがやっていますよね。声優としては、尺からはみ出るって勇気いるんですよね。後の人に迷惑かかるんじゃないかとか。発声が甘かったぐらいなら、「OK!」って言われちゃう(笑)。

矢野 やっぱりみなさん驚かれますよね。

井上 今のでよかったのかなぁ、でも監督はOKって言ってるしなぁって。時間が決まっている中で、「もう一回お願いします」って言いづらいですよね。でも僕は、OKということはきっとこのシーンに合っているお芝居だったんだと思うようにしています。さとう監督はおそらく、いかにもセリフっぽく言うよりも、生のお芝居にちょっと寄った方が好きな方。だから台本通りに言うことは重要視していないのかもしれない。お芝居の流れが一番大事だと考える監督なんですよね。

梶田 アフレコで印象的だった共演者の方はいますか?

井上 第1話で、ただひとりドラゴンキーパーに歯向かおうとした戦闘員Dに、レッドキーパーが「ほい、おつかれさん。あまりはしゃぐんじゃないぞ」って言いますよね。あのセリフを中村悠一さんはどう演じるんだろうって楽しみにしていたんですが、すごくいいなと思いました。頑張っている時に絶対に言われたくない言い方でしたからね(笑)。

梶田 心をボキッとへし折ってくる、余裕すら感じられる言い方でしたよね…。

井上 無惨な一言でしたよね。レッドキーパーって一番つかみどころがなくて、一番きな臭いキャラクター。中村さんってヒーロー役もたくさんやっているし当たり前にすごく上手いんですけど、あのきな臭さを出せるのはさすがだなぁと思いました。

矢野 そんな人物が中心にいる大戦隊って(笑)。

井上 グリーンキーパーは鳥海浩輔さんの声で聞くととても爽やかでちゃんとしたヒーローですよね。原作を読み進めると、実はこんな人なのかと驚きましたが、それも含めてグリーンキーパーは魅力的だなと思います。イエローキーパーは、どんな演出指示があっああなったのかが気になっています(笑)。小野賢章くんらしからぬキャラクターですよね。
M・A・Oさんとは現場で一緒に掛け合いできたので、ピンクキーパーってこういう感じなんだなと。ピンクキーパーも裏の顔があるので、一癖ありますよね。やっぱりブルーキーパーが一番わかりやすいんじゃないかなぁ。

 


それぞれの正義の形

梶田 ヒーロー役の印象が強い井上さんですけど、この作品のどんなところに面白さを感じますか?

井上 無名の怪人が主人公って面白いなと思って読み進めていくと、正義と悪が立ち位置によって入れ替わりますよね。自分の正義は相手にとっては悪かもしれない。ボタンを掛け違うと見え方も変わってしまうんだなと、いろんなことを考えさせられます。自分が信じていたものや固定概念に対して、「いや違うよ」と言われているようで。ドラゴンキーパーも、毎週怪人を倒すことに何かを見出しているわけでもなさそうですし。大戦隊サイドの中では、日々輝はけっこう芯があるなと思います。「人も怪人も等しく生きられる社会を作る」という目的がはっきりしているので。

梶田 いい意味での若さが日々輝くんにはありますね。大戦隊の実情を知った上で、自分はこの世界を変えるんだと本気で思っている。夢子の正義はどうだろう?

矢野 ドラゴンキーパーが正義の代表だとしたら、夢子は己の正義を貫くために一人で動いている遊軍タイプ。戦闘員Dともつながっているのでわかりにくいですが、夢子なりの正義はあると思っています。

井上 ドラゴンキーパーの5人も、大まかに大戦隊という枠組みでくくってあるというだけの関係。それぞれの思いもありますよね。

梶田 まとまりようがないですよね。たとえばレッドキーパーの思想に合わせることになったらもはや洗脳みたいだし。なんだかすごく壮大な話になってきました。

矢野 多分レッドキーパーが一番怒らせたら怖い人なので、それもあってみんな余計なことはせずにまとまっているのかもしれないですね。

 


ヒーロー像とは

梶田 そんな井上さんにとってのヒーローというと?

井上 最初にさとう監督とお仕事したのが『TIGER&BUNNY』なので、それからずっと演じているスカイハイは、自分のヒーロー像として染み込んでますね。彼は、自分のことはさておいて人々を守るために戦っている純粋なヒーロー。僕がもともと持っていたヒーロー観にもすごく近いキャラクターだったので、全面的に信頼しているところはありますね。

矢野 かっこいいヒーローを演じると気分も高揚しますか?

井上 ちょっとだけ変わるかも。悪いことはやめておこう、誰もいない横断歩道でも信号は守ろうって思いますよ。ブルーキーパーも意外と信号は守るかもしれない。信号無視している人に、「止まれコラァ! 赤だろ!」って怒鳴りそうだけど(笑)。

梶田 好感度上がるなぁ。でもやっぱり怖いかも(笑)。

 


トークを終えて…

梶田 アフレコ現場でご一緒して、ブルーキーパーの口調の荒い部分ばかりがすごく印象に残っていたので、今日こうしてじっくりお話を伺うと、井上さんがいろんなことを考えられているから、あのかっこいいブルーキーパーが生まれたんだなと。役者としてすごく勉強になりましたし、これからのブルーキーパーの活躍が楽しみで仕方ないです!

井上 ありがとうございます。梶田さんもすごくセリフが長いのが多いのに、いつもカットにバッチリハマっているので、きっとお家でたくさん練習して来られてるんだろうなってわかります。真面目な方なんですね。

梶田 うれしいです。僕、アフレコは台本を見なくても言えるぐらいに、セリフは全部覚えて行っているんです。

井上 やっぱり。ちゃんとやろうっていう責任感がすごく感じられて、素敵だなと思いますよ。

梶田 もうちょっと踏み外した方がいいんでしょうか?

井上 真面目さがマイナスに出るってことはないと思うし、そのままでいいと思いますよ。一字一字全部伝わるようにはっきりお芝居されているので、観る人のことも考えてお芝居されてるんだろうなって思いました。矢野さんは逆に、お芝居がすごく自然で驚きます。吹き替えのお仕事もされてます?

矢野 いえ、ほとんどやったことがなくて。これだけセリフの多い役を演じるのもこれが初めてなんです。

井上 そうなんですか。それでこのお芝居はすごいなと思いますよ。スッとセリフが入ってくるお芝居で魅力的だなと思っています。

矢野 嬉しいです。夢子って基本的に誰にも心を開いてないキャラクター。現場でみなさんとあまりに関わりすぎてしまうと、それが夢子としてのお芝居に出てしまうかもしれないと思って、おしゃべりするのを我慢しているんです。今日はこの場をお借りして井上さんとたくさんお話しできて本当に嬉しかったです。収録が全部終わったらもっとたくさんお話しさせてください!

井上 夢子役としてストッパーをかけていたんですね。それ、ちゃんとみんなに言っておいたほうがいいですよ!?

矢野 「あの子、夢子みたいだな」って思われているかも? 早く誤解を解かないと!

【ライター:大曲智子】

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