原作
『不思議の国のアリス』ルイス・キャロル
『不思議の国のアリス』は、1865年の初版以来170もの言語に翻訳され、世界的な発行部数は1億部と言われる超人気作です。映像化もおびただしく、ティム・バートン監督の映画「アリス・イン・ワンダーランド」の世界興行収入は10億ドルを突破しました。「ノンセンス」文学の最高峰と呼ばれますが、それはこの作品が「センス」=社会のルールをこわすことをテーマとしているためです。ふつうのものなど何一つない不条理な世界で、自分を一度見失うことで新たな自分に出会う──それがアリスの世界です。
文/河合祥一郎(東京大学教授・角川文庫「不思議の国のアリス」シリーズ訳者)
アニメーション制作
P.A.WORKS
2000年設立。富山県に本拠を置き、東京にもスタジオを構える業界屈指の人気スタジオ。
「花咲くいろは」「SHIROBAKO」「パリピ孔明」「スキップとローファー」等のスマッシュヒットを連発。独自性の高いオリジナル作品を数多く制作し、細やかな日常描写と美しい背景美術へのこだわりが際立つ。
「花咲くいろは」も手掛けたカリスマ脚本家の岡田麿里の初監督作品となった劇場アニメ「さよならの朝に約束の花をかざろう」(18)では、その圧倒的なクオリティがアニメファン及び業界関係者に衝撃を与え、最新作『劇場版プロジェクトセカイ 壊れた世界と歌えないミク』(25)は大ヒットを記録。
愛らしく繊細な少女の造形、共感を呼ぶキャラクター描写とテーマ性でも視聴者の心を掴んできた。日本の地方各地を舞台にすることも多く、地域とのつながりを感じさせる点も魅力。
監督
篠原俊哉
お気に入りのキャラクターとお気に入りの世界を一緒に歩くことができたら、それはきっと忘れられない旅になるでしょう。もしかしたら天地がひっくり返るようなことに遭遇し、何かが大きく変わるかもしれません。あなたにとってそういう映画になってくれたら…そんな願いを込めて──。
1959年10月29日生まれ。1994年『みんな集まれ!アンパンマンワールド』で監督デビュー。
その後「それいけ!アンパンマン」シリーズ、「犬夜叉」シリーズで演出・絵コンテ・劇場版の監督など担当。代表作として、TVアニメ「RDG レッドデータガール」(13)、「凪のあすから」(13)など。
近年では、『さよならの朝に約束の花をかざろう』(18)で副監督、TVアニメ「色づく世界の明日から」(18)、「白い砂のアクアトープ」(21)ほか、P.A.WORKSが制作する数多くの人気作品の監督をつとめる。本作品は、監督として、P.A.WORKSとタッグを組んだ初めての劇場アニメとなる。
脚本
柿原優子
アリスはどうしていつの時代も愛されるんだろう?
シナリオを書きながら答えを探すうちに、わたしは何度も不思議の国で迷子になりました。
見えない何かに疲れたとき、友達と軽くお茶するように、ささやかで気楽なこの世界に遊びに来てくれるとうれしいです。
映画館を出るとき、見てくれた方がほんのちょっと笑顔になれますように。
倉本聰主催の富良野塾で脚本を学ぶ。TVアニメ「月がきれい」(17)でオリジナル脚本として高い評価を得る。
TVアニメ「アイカツ!」シリーズ、「ちはやふる」、2022年版「うる星やつら」、「はたらく細胞」「アオのハコ」等人気シリーズ作品の脚本・シリーズ構成を担当。
大人向けから子供向けまで、幅広いジャンルのアニメ作品を手掛け、その繊細な心情描写で、キャラクターに魂を息づかせる。
篠原俊哉監督とは、「色づく世界の明日から」(18)、「白い砂のアクアトープ」(21)で組み、奥行きのあるコンビネーションを見せる。
コンセプトデザイン
新井清志 (レッドハウス)
ワンダーランドってどんなとこだろう。
自分の担当はそのヴィジュアル的な明示化で、自分なりの結論としては、こぎみよい現実からの逃避場所。
時々覗いてみて、少しおおらかな気持ちになる、そういった場所にならないかと考えながらデザインしてみました。
映画館を出る時、また現実に戻るわけですが、楽しかったな~、気分転換になったな~、そう思っていただけたら何よりです。
ゲームアートデザイナー、イラストレーター。スクウェア・エニックスで『ファイナルファンタジー 12』『ファイナルファンタジー 14』などのゲーム作品のアートを手掛け、2010年にアートスタジオ・株式会社レッドハウスを設立。
近年の参加作品は、『フリーダムウォーズ』、『ファイナルファンタジー 14』シリーズ、『ブレイブリー』シリーズなど。
アニメーションのコンセプトデザインを手掛けるのは、本作が初めてとなる。

音楽
コトリンゴ
アリスの世界、私も大好きです。
お話をいただいた時はとても嬉しく、楽しみながら音楽作りを進めていきました。
そして主人公・りせちゃんのおばあちゃんの言葉に、私も慰められました。
りせちゃんと同年代の方はもちろん、色んな世代の方に見ていただけたらなと思います。
たくさんの方が少し背中を押してもらえるはず!
コトリンゴ
2006年、坂本龍一プロデュース『こんにちは またあした』で日本デビュー。
これまで多くの作品の劇中音楽を手掛け、2016 年にロングヒットを記録したアニメーション映画『この世界の片隅に』のテーマ、劇中歌、BGM の全ての音楽を担当し、第40回日本アカデミー賞優秀音楽賞、第71回毎日映画コンクール音楽賞、おおさかシネマフェスティバル 2017 音楽賞を受賞。
他作品は、TV ドラマ「明日、ママがいない」(14/NTV)の主題歌や、映画『旅猫リポート』(18)、 『母性』(22)、「うちの弟どもがすみません」(24)、TV アニメ「幸腹グラフィティ」、「小林さんちのメイドラゴン」など。