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スタッフインタビュー|総括デスク 武貞慎之介

第4回スタッフインタビューは、統括デスクを務める武貞慎之介さん!
TVアニメ「好きな子がめがねを忘れた」の制作現場のマル秘エピソードを披露していただきます。

Q.チャレンジが盛り込まれたシーンがあればお教えください。
A.シーンと言うより作品に入る前にコンセプトを監督のお二人、コンセプトデザイナー様、キャラクターデザイナー様、
チーフアニメーター様、背景、撮影、CGチームのリーダーの方々と一斉に集まり作成の方向性を決める為のミーティングを設定、取り仕切りをさせていただきました。
チャレンジとして、
1 最終話数まで息切れをしない制作体制確保。クオリティーダウンをしない本編制作。
2 2D(手書き)アニメーションとしてGoHandsの力を最大限に出す。
特に芝居リアクションを一つずつ抜かない様にする。その為に時間を確保する。スケジュールの共有。
3 背景とキャラクターのマッチングをする為の特殊撮影に時間を使う期間を本編と別に設定する。
(今回は光と影、集団生活の場所に舞うほこり)等を目に入る様に入れ込む。
4 カメラのレンズ感を出すレイアウティングを意識する。
今回は広角、望遠を意識したカメラアングルを最終工程のコンポジションチームまで意識共有する。
5 実力はさておき(笑)丁寧に作ると言うGoHandsのスタイルを曲げないで映像を世の中に出す。組織力で映像を仕上げる。
と言う5点を共有して制作をすることをチャレンジとして制作をしたことを記憶しております。

Q.作品の空気感が、学校生活を思い出す雰囲気を醸し出していますが、その空気感にこだわりはあるのでしょうか?
A.メーカー様からのご提案と、監督お二人から同じご意見として、
光を多用した映像の空気感作りを入れ込みたいとご提案いただきましたので
コンセプトデザイナーの鈴木さんを中心に現場の撮影チーム、CGチーム、背景チームとテストテイクを繰り返して方向性を探った事を記憶しています。
鈴木さんと監督両名は10年以上のお付き合いで阿吽の呼吸で対応をされているのでコミュニケーションはスムーズでしたが
言葉にすると簡単ですが映像にすると難しい【空気感の共有】には時間が掛かるのでなるべく開発に時間を確保することを意識しました。

Q.アニメを象徴する美麗な OP 映像には、込められた想いなどございますでしょうか?
A.監督お二人からはOPはコンセプトデザイナーの鈴木さんにどうしてもご依頼をしたいとの強いご希望がありましたので
鈴木さんのスケジュールの確保を行い執筆前にイメージを膨らます時間を確保していただける様に意識して打ち合わせを数回行いました。
ただ鈴木さんは原作本を何度も読んで原作リスペクトを忘れない方ですので心配はしていませんでしたが、
同時にクライアントさまの意向もお気にする方なので原作者様クライアント様へのチェック確認が抜けない様にご要望ご依頼を受けましたのでその橋渡しには神経を使いました。
絵コンテが上がって監督両名の読み合わせに立ち合ったのですがお二人とも
「無理を言って頼んだかいがあった本当にありがたい」「100点を超えている」と言われたことが記憶に残っています。
映像自体は鈴木さんがプロツゥールス、アビットを駆使してファイナルカット(完パケ)まで持って行って下さったので完パケ素材を待つ形になりましたが、
スタッフ全員で上がって来た映像をチェックした際の全員の嬉しそうな顔と一人のスタッフさんが「作品の顔になるOPですね」と言われたことに
皆さんが同時にうなずかれたのをその場に居れて見れたのがありがたかったです。

Q.特に思い入れのあるシーンと、その理由を教えてください。
A.1話冒頭のCM前までの一連のシーンはセリフの少ない世界観を表すシーンで制作プロダクションの映像屋としての器量を図られるシーンです。
制作の取り仕切りや制作をされるスタッフリング構成には頭を使った記憶があります。
監督連と細かくチェックをして【作り上げていった】思い出が強い思い出に残っております。

Q.とても瞳を大事にされたシーンが印象的ですが、どういったこだわりが込められているのでしょうか。
A.作品に入る前に監督両名共通のご希望で細かく工程(処理を入れた)を加えた瞳の開発をする為、
総作画監督の谷さん、古田さんにデザインのアイディアをいただき、
撮影チームに色合いの出る処理の開発を依頼をかけて取り仕切りを行い、
フィニッシュまで持って行った工程を踏んだやり取りで作り上げました。
結果今回の様にインタビューでご感想を求めていただける形になり、なによりです。

Q.とても髪を大事にされたシーンが印象的ですが、どういったこだわりが込められているのでしょうか。
A.原作者様とのミーティングの際にお言葉をいただいた、原作では髪の毛の動きを意識されていると言うお話をお聞きしてヒントにし開発提案を始めました。
コンセプトしてGoHands(制作プロダクション)として視聴される方々が初めて見る感覚を持っていただける髪の毛のアニメーションデザイン、
アニメーション技術の練度が出ている髪のなびきを開発できれば作品の打ち出しになる視覚的刺激のある映像になるのではと思いスタッフ全員に共有をしました。
ヒント(原作者様とのやり取り)からの開発(GoHandsとして作品に打ち出したい方向性)を繋げられたのであれば制作冥利に尽きます。

Q.原作を大切に描きつつ、キャラクターのアクションなどにおいて新たに解釈を付与しているシーン(1話のドッヂボールのシーンなど)がございますが、
解釈を付与するにあたって大切にしたことや苦労したことなどはございますでしょうか?
A.このシーンは初めて三重さんと小村君の体が触れるシーンなのでシーン前後から記憶に残る形にするべきだと思い、
質の高いアニメーターの方にご依頼できるようにスケジュール調整とご依頼の意図を実作業前に作業者さまに伝える打ち合わせを行いました。
アニメは絵を描くところで終わらならない色や撮影と工程を踏んで完成しますがそれでも絵の時点で「行ける!」と思った記憶があります。

Q.劇中の三重さんの仕草や表情が、非常に可愛らしく感じました。魅力的に見せるにあたりこだわった点はございますでしょうか?
A.実作業前のスタッフミーティングで「2D(手書き)アニメとしての表情変化を打ち出していく」と言う目標を、
見ていただいた方に感じていただけているのであれば本当にありがたいです。

Q.第1話冒頭の小村君が教室へ向かうワンカットでのシーンの、こだわりについてお教えください。
A.シナリオがUPして直ぐに監督両名からコンテニング(スタートから)フィニッシュまでをコンセプトデザイナーの鈴木さんに
ご依頼をしてほしいとのご希望をいただきまして、ご依頼とスケジュール調整を行いました。
担当アニメーターも監督連から数名の候補をいただき今回はメインアニメーターの大久保さんにご依頼をしました。
布陣を完璧にして挑んだのですが、印象に残っているのはコンテが上がりメーカー様にチェックの為にお送りする前に、
普段演出的な部分は私達現場制作チームに預けていただきご意見を言われない弊社プロデューサーから
「視聴するお客様へ作り手として視覚的刺激を感じてもらうのであれば手の芝居(中階段で小村君が手を置く)を入れ込んで
その部分に間とレンズ感を強調してみるのはどうか」ともらい追加工程としてスタッフ全員に伝えた所、担当アニメーターさま含めて
「気が付かなかった流石ですね」と全員一致で採用になったのを覚えています。
映像クオリティーも大切だが視聴者側に見てもらいたい意図を考えたアニメーションプロデュースの大切さを教わりました。

Q.小村くんと三重さんのキャスティングに関して、伊藤昌弘さん、若山詩音さんを選ばれた理由はありますか?
A.役者様のキャスティングを行う前から監督からは実力よりも人柄で採用したいと言うお話をいただいていました。
人柄と言っても性格的な部分より作品に寄り添っていただけるか、演出的指示に寄り添っていただけるか。
演出指導に対して早いレスポンスをしてもらえるかを重要視させてほしいと言う事でした。
理由は今作品はメインキャラ2名が出ずっぱりの作品の為1シーンずつ細かく作り上げていかないといけない事と
作品が柔らかい作品なので音響現場がピリピリしない様にしたい形で意見を合わせていくことが重要と言う説明を受けて非常に納得しました。
上記の説明後キャスティング決定の場にはおりませんでしたが、当日第一回目のアフレコに立ち合った際に感じたのは「流石監督!」と言う気持ちです。
とにかくお二人の場を作る空気感が良く全員が穏やかに収録を進める事ができた事が記憶に残っております。
監督からも穏やかに収録が済んだ帰り道で「各個人役者さんは思う事があっても、それでも真摯に演出指導に従ってくれた事で
収録現場に行けない何百人もの制作スタッフさんが一つのイメージを持って必死に映像を仕上げてくれた作業が報われました。」とお言葉をいただいて本当にありがたかったです。

Q.アニメづくりで大事にされていることはございますか?
A.第一にクライアント(メーカー様)があって制作プロダクションがあると考えており、
ご依頼があって制作がスタートすると思っております。まずはクライアント様の映像のイメージ、
ご意向が原作物の場合は原作のファンの皆様のお気持ちだと思っておりまして、イメージをお聞きし掴み、
制作現場に共有することが私の仕事だと思っています。ズレない共有。
第二はGoHands(プロダクション)としての地方で制作しても丁寧な物つくりはできる!をぶれないで行う事だと思っています。
実力やクオリティーの高い国内のスペシャルな制作プロダクションは山ほどあり、映像クオリティーの評価は見ていただくお客様にお委ねするのが職業としての訓示だと思います。
しかし丁寧に一つずつ連携して工程作業し作り上げる事は自分たちでもできる事だと強く思っていますので
工程飛ばしをせずに丁寧に作り上げる事はブレないで続けたいと思っております。
同時に作品によって絶対に優劣を付けないどの作品も託していただけた以上、今できる全力を尽くすと言う意思は持ち続けたいです。

Q.原作「好きな子がめがねを忘れた」について感想をお教えください。
A.元々読んでいた作品でしたのでご依頼をしていただいてすごくうれしかったのを覚えていますが、
一度ファン意識はおいて監督を中心に現場を作る為に【裏方スイッチ強く押した】ことを覚えています(笑)。
学生時代に夢見た世界と誰も傷つけない世界が大好きです。とても素敵な物語だと強く思います!

Q.劇中に登場するキャラクターで、お気に入りのキャラクターはいらっしゃいますか?
A.どのキャラクターもキャラクターデザイナーの内田さんが気持ちを持って描かれているのを見ているので全員大好きです!

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