殺陣作画監督
中田栄治インタビュー
道場で薙刀の指導を受けました
殺陣作画監督とはどのようなポジションなのでしょうか。
『パリに咲くエトワール』に参加するにあたって谷口(悟朗)監督からは、薙刀やそこにまつわるアクションシーンを担当してほしいと話がありました。
薙刀については全然知識がなかったので、谷口監督などスタッフと北辰一刀流玄武館に取材に行き、数日間指導を受けました。初めて薙刀を手にしましたが、縦にすっと切り上げる動きだけでもブレてしまって難しい。長さがあるので周囲との距離感の体感が普段とは大きく違う。右手右足、左手左足が同時に動くという体の使い方も、現代の日常の動きとは全然違う。今回の仕事の難しさを実感しました。
作画にあたっては、自分で動いて確認したり、道場の先生の動きを撮影した動画を参考にしたりして進めて行きました。

薙刀が登場するシーンはどのように制作したのでしょうか。
絵コンテは、おおざっぱな内容だったので、求められているものを踏まえて、こちらでもうちょっと詳細にアクションを組み立てたアクション用のコンテを作りました。
それを谷口監督にチェックしてもらうのですが、その段階で「ここに回し蹴りを入れてもらえますか」とか、必ずプララスアルファがあって、より大変な内容になりました(笑)。

千鶴の薙刀を描くにあたって意識をしたポイントはありますか?
フジコと再会するシーンでは、武術家らしいムダのない動きを意識しました。これが映画後半になるとバレエの影響を受けて、重心の変化により動作が変わっていきます。
とある薙刀のアクションシーンでは、高くジャンプしたり、脚を高くあげるというバレエ的な動きが加わったりしています。
実際はハイキックのような動きは危険なのでやらないのですが、バレエによる動きの影響も意識して、あえて描いています。バレエの動きを反映させるにあたっては、バレエ作画監督のやぐちさんにも確認してもらいました。

中盤以降は、アパルトマンの人々の練習シーンもあります。
練習生の動きは、まったくやったことのないスタッフに薙刀を持って、動いてもらったものを参考にしました。
頭の中で想像した“下手な動き”だけだと、ワンパターンになってしいますが、実際に慣れていない人にやってもらうと意外性のある動きがでてくるんです。
あと演舞を見せるシーンでは、千鶴が振り付けをしたものを皆で演じているので、動きが追いつかないときやミスがあっても、千鶴が相手に合わせてフォローをしているように描きました。

薙刀以外だと、チンピラとして登場するカウフマンが棒術を使います。
フランスのラ・キャンですね。昔の動作も色々調べましたが、千鶴の動きとのコントラストにもなると思い、彼なりにアレンジした自己流という事にして当時の動きよりは現代的な動きに寄せて描いています。

今回のお仕事を振り返っていかがでしたか。
今回、「薙刀パート」に関しては、パート丸ごと(今所属している)会社でグロス受けさせていただき、その点薙刀パートは全体を見渡すことができました。
作品全体を見渡しながらではない不安もありましたが、薙刀のパートが、メインであるバレエシーンの足を引っ張らないように、よい意味で映画の“飾り”としての役割を果たすように考えて取り組みました。
